Eテレ考察ブログ

Eテレで放映中の番組(主に100分de名著・ねほりんぱほりん)の内容考察をします。たまに、単発でテーマ自由な考察もします。 Twitter→ https://twitter.com/Sweets1942

足を洗う苦悩—苦悩の原因と解決策—(ねほりんぱほりん ゲストの今を徹底調査!その後を知りたい女たちスペシャル 考察)

 この記事では、まず番組の内容概要を紹介する。次に、それを基に考察をしていく。

ねほりんぱほりん ゲストの今を徹底調査!その後を知りたい女たちスペシャル 概要

 この回は、以前ねほりんぱほりんに出演した3人がその後の経過を報告する形式である。3人のプロフィールと、報告内容は以下の通り。

 

①マナミさん(25)パパ活(男性と食事を共にすることで、金銭を得ること)歴4年。職業は、金融系営業職。将来の夢は、子どもと仲良しのママになること。 

彼女は、パパ活相手の男性(パパと表記する)とは別の男性(婚約者と表記する)と結婚を予定している。そこで、いかにパパに別れを告げるか、そして、今までの豪勢な生活から決別できるのか、の二点で苦悩を抱えていることを報告した。

 

②イヅミさん(20代後半)腐女子(男性同士の恋愛を好む女性の意味)。結婚6年目。夫には、「30歳までに腐女子をやめて」と言われている。

彼女は、趣味が夫に受け入れられないことに苦悩している。ある日、夫は激昂し、BL本を捨てられてしまった。そこで、彼女は電子書籍で、本を購入することにした。これによってばれずに腐女子活動ができる。また、自分の息子が出来ることで、妄想のバリエーションが増えると期待している。

 

③リカさん(30代)スクープ記者歴10年。最近結婚した。

彼女は、結婚によってライフスタイルが変化し、仕事にも悪影響が出ていることに苦悩している。以前は、自分の魅力を使ってネタを集めていた(主として飲み会)。しかし、結婚により、ネタ元の人々が離れてしまった。そこで、解決策として、ママ友ネットワークを使った情報収集を計画している。

 以上が、番組の内容要約である。次は、これを基に、なぜ彼女らは苦悩するのか?について考察する。

苦悩の原因—相手の期待を裏切る際の罪と罰

 考察全体の流れとしては、1.苦悩の原因→2.苦悩の大きさの決定要因→3.苦悩を軽減するには?という流れで考察をしていく。

 

 この節では、番組に出演した3人の女性は、自分の以前の行いから、足を洗う必要に迫られ、苦悩している。なぜこのような苦悩が生じるのか、3人の例を用いて考察する。

 

①マナミさんは、パパの期待を裏切っている。パパは、明らかにマナミさんとの交際を望んでいる。にも関わらず、他の男性と交際した。これはパパの期待を裏切っている、といえる。

②イヅミさんは、夫の期待を裏切っている(もちろん、腐女子趣味自体は否定されるものではない)。夫は、イヅミさんが腐女子趣味に熱中しすぎて、自分に構ってくれないことに不満をもっている、と推察する。しかし、イヅミさんは、その期待に応えずにいる。これは、夫の期待を裏切っている、といえる(もちろん、少し理不尽である気もする。この辺りは以降で考察する)。

③リカさんは、ネタ元の人の期待を裏切っている。彼らは、リカさんと一緒に飲むこと、そしてその先を期待している。結婚すれば、彼らからすれば、そのような幻想が打ち砕かれることになる。これは、ネタ元の人の期待を裏切っている、といえる。

 

 このように、3人は自身の状況の変化によって、図らずしも誰かの期待を裏切ったことになる。このことは、自身の心のうちにその誰かの期待を裏切ってしまった、というの意識が生じる。さらに、その誰かから支援を打ち切られる可能性を意味し、さらにひどい場合、報復を受ける可能性、の可能性が生じる。この罪と罰こそ、彼女らの苦悩の原因であると解釈する。

 彼女らに罪の意識と罰の可能性があることは、共通である。しかし、その大きさは全く異なる(①マナミさん>③リカさん>②イヅミさん)。次節では、なぜ大きさが異なるのかを考察する。

苦悩の大きさ—罪と罰の大きさ—

 ここでは、苦悩の大きさはどのようにして決まるか?を考察する。まず、罪の意識の大きさであるが、これは、個人的な性格によるところが大きい。内省的な性格であれば、罪の意識は大きくなり、反社会性パーソナリティ障害・自己愛性パーソナリティ障害をもつ人々は、罪の意識が非常に希薄である。

 一方、罰の大きさは何で規定されるか?まずは、期待を裏切られた相手の性格が影響する。罪とは逆に、内省的な性格であれば、他人への罰は小さくなる(他者をあまり罰しない)。反社会性パーソナリティ障害・自己愛性パーソナリティ障害をもてば、他者を許すことはせず、強く罰するであろう。

性格的な問題は、人それぞれであるが、一般に言える法則もある。それは期待を裏切られた相手が抱いていた期待と、現実とのギャップが大きいほど、罰したい気持ちが大きくなることである。例を挙げて、このギャップと罰の大きさの関係を示す。

 

①マナミさんは、パパへ交際の可能性を4年間常に期待させていた(実際、パパは何度も告白している)。また、多額の現金(月30~50万円)を受け取っており、食事・デート等、週3~5日の時間を共にしている。結婚相手よりも長くの時間を過ごしているわけである。ゆえに、パパは、マナミさんとの交際を強く期待していると考えられる。しかし、現実は、他の男性と結婚し、パパとの交際は永久に不可能なことである。これらの事実から、パパの期待と現実のギャップは3者の中で最も大きいと考える。

②イヅミさんは、夫と結婚しており、子供も出来る。夫の期待は、もっとイヅミさんに構ってもらうことである。現実には、イヅミさんは、夫へも時間を割いているが、子供・趣味へも時間を割いている。この理想と現実のギャップは3者の中では最も小さい。実際に時間はある程度割いているからである(個人的には、夫にはイヅミさんの趣味を理解し、自立してほしいくらいである)。

③リカさんは、ネタ元の人と頻繁に飲み会を行っていた。彼らはリカさんとの関係を望んで参加している。これが期待である。現実には、リカさんは結婚し、それは叶わぬことであった。彼らは遊びの関係を欲しているだけなので、期待はパパよりは小さい。従って、パパよりはギャップが小さいと考える。

 

 以上の具体例の考察から、期待と現実のギャップは、①マナミさんのパパ>③リカさんのネタ元>②イヅミさんの夫であると結論付ける。従って、これが罰の大きさの順序も(性格の要因を無視すれば)これと同じであると考えられる。これがほぼ苦悩の大きさである。最も苦悩が大きいのは、①マナミさんであり、次は③リカさんであり、最後に②イヅミさんである。

 

 これらの議論から、苦悩の原因は罪と罰であること、およびその大きさを決定する要因は互いの性格・期待と現実のギャップであることを述べた。最後に、この苦悩を軽減する方法を提言する。

苦悩を減少させるには?—実現できない期待をもたせない—

 前節で、罰の大きさは、期待と現実とのギャップであると述べた。従って、このギャップを小さくすればよい。すなわち、現実とならないような期待はもたせない、これこそが処方箋である。以下ではこの事実を具体的に彼女らへの適用した場合の例を示す。

 

①マナミさんは、交際が不可能な相手に、交際の可能性をちらつかせるのは辞めるべきである。既に関係が深いパパへは、交際不可能である現実をいち早く・誠実に伝えるべきである。時期が遅くなればなるほど、パパのマナミさんへの投資は大きくなり、期待が高まってしまうためである。

一般に、パパ活は避けるべきである。なぜなら、パパ活とは、パパへ交際可能性をちらつかせることで成り立っており、それは叶わないからである。

②イヅミさんは、夫へ夫のことを大切に想っていることを伝えるべきである。夫は、趣味・子供にイヅミさんが奪われることが心配なのである。

③リカさんは(既に彼女自身が行っているが)、ネタ元へ結婚の事実を早急に報告すべきである。時間がたてばたつほど、相手は時間をリカさんと共に過ごすことになり、期待を高めてしまうからである。

 

3者の例で述べたように、とにかく相手の期待と現実とのギャップを早急に埋めることが肝要である。時間がだらだら過ぎれば、相手の期待も高まってしまう(こんなに時間・お金を費やしたのに…という気分になる)。