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ビットコイン真の価値は1.2万円? トランザクション・SNAデータによる分析

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 本記事は第1回 後半の付録になります。

概要

ビットコインの通貨価値(本当の価値)=1BTC当たり約1.2万

ビットコインの通貨価格(12月の価格)=1BTC当たり約190万

 (時価総額Bitcoin (BTC) Historical Data | CoinMarketCap 日本銀行時系列統計データ検索サイト より筆者計算 2017/12月平均値 ビットコイン発行量1500万BTCとした)

以上の結論をどのように導いたか。主にBitcoinトランザクションデータと日本銀行のデータを用いて分析をした。以降では分析の過程を紹介する。

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1. ビットコイン・日本円の通貨価値比

 仮想通貨は現実世界で本当に使われているのだろうか?それとも単なる仮想世界でのデータに過ぎないのだろうか?

 本記事では仮想通貨の代表、ビットコインに対して分析を行う。

 話を進めるには、取引トランザクション)と決済という概念が必要になる。この二つの概念は区別されなければならない。以下で定義をする。

 

定義:決済 代金、または現物や証券の受け渡しによって売買を済ませること。 

決済(ケッサイ)とは - コトバンク

 決済とは簡単に言えばモノ・サービスを買った時、対価として通貨を支払うことを意味する。普通、日本のお店でモノを買えば日本円で支払う。これを日本円による決済という。ビットコインでも一部店舗で同じことが可能である(例えばビックカメラの一部店舗で決済可能)。

定義:取引(トランザクション) 商人どうし、また、商人と客との間でなされる商業行為。売買の行為。

取引(とりひき)とは - コトバンク

 取引とは決済を含むより大きな概念である。例えばビットコインはそれ自体が取引所で売買されている。このような投機目的の売買も含む。

 

 本当にビットコインが使われているとは、ビットコインによって決済されている、と言い換えることが出来る。決済に使われることがその通貨の通貨価値(=通貨の本当の価値≠通貨価格 第1回 前半で詳しく述べている。)を構成する。

 ゆえに1.1-1.3では決済額の推定を行う。1.4 では通貨価値比を推定する。

1.1 ではビットコインの取引額の内、決済額の割合(決済額率)を推定する。

1.2 では1.1 の結果を用いて、ビットコインによる決済額を推定する。

1.3 では日本円による決済額を推定する

1.4 ではビットコイン・日本円の通貨価値比を推定する。

1.1 ビットコインの決済額率推定

定義:決済額率 決済額÷取引(トランザクション)額

 本節では、決済額率推定のためビットコイン取引所Bitflyerの取引データに対し分析を行う。

 まず、外国為替証拠金取引(以降FXとよぶ)に注目する。これは投機目的の取引であり、決済ではない。この取引額はいくらだろうか?

外国為替証拠金取引 - Wikipedia

 以下表1 はBitflyerにおける取引額を表している。1列目に注目頂きたい。bitFlyerbitFlyerにおける取引を表し、bitFlyerFXはそのうちFXを表し、bitFlyer(FX除く)bitFlyerにおける取引のうち、FXを除いたものである。2列目は直近24hの取引額のビットコイン表示であり、3列目はそれの日本円表示である。

表1.bitFlyerにおける直近24h取引額 2018/01/01 22:43時点

Bitcoin (BTC) - Live Bitcoin price and market cap  より筆者作成)

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 決済に使用された可能性があるのは、bitFlyer(FX除く)の取引額である。このうちどのくらいが決済に使われたのだろうか?

 BitFlyerにおける決済サービスにBitwareがある。これによる決済額は不明であるが、以下の導入事例から推定する。

bitWire SHOP【bitFlyer】

 上記事例から、(私見であるが)多く見積もって1日当たり約2億円が決済に使われていると推定した。正確にはBitFlyer(FX除く)の取引額のうち、1%が決済に使われているとした。

 

 以上の議論から、決済額率は以下のように推定される。

決済額率

BitFlyer(FX除く)の取引額 × 0.01 ÷ BitFlyer の取引額

=¥25,618,706,533.32 × 0.01 ÷ ¥158,198,852,914.59

= 0.001619399 ≒ 0.162%

1.2 ビットコインによる決済額推定

 本節では1.1 の結果および取引(トランザクション)額のデータを用いて決済額を推定する。

 ではまず全世界のビットコイン1日当たり取引額を見てみる。ただし、日本円換算を行った。以下の図1 のようになる。

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図1. 2017年12月の全世界ビットコイン1日当たり推定取引額(億円)

https://blockchain.info/ja/charts/estimated-transaction-volume-usd 日本銀行 時系列統計データ検索サイトより筆者作成)

 図1 から12月の取引額の平均を求め、¥424,344,071,079.52となった。これから、ビットコインの1日当たり決済額は以下のようになる。

ビットコインによる1日当たり決済額

ビットコインの1日当たり取引額 × 決済額率

= ¥424,344,071,079.52 × 0.001619399
= ¥687,182,367.37

となり、約6.9億円と推定される。 

1.3 日本円による決済額

 日本円はどのくらい使われているだろうか?円は現在日本・北朝鮮ジンバブエで通用する。

円 (通貨) - Wikipedia

 だが、北朝鮮ジンバブエにおけるデータが入手できなかったため、本記事では日本における日本円による決済額を推定するに留める。これはほぼ日本の総産出額に等しい。

総産出額 (Gross Output) :最終生産物の総取引額と中間生産物の総取引額を合計

http://www.findai.com/yogow/w00001.htm

Gross output - Wikipedia

 総産出額は、1国の取引額全てのことを指す。また、日本では日本円が法定通貨なので、日本円で決済されている。ゆえに日本の総産出額=日本における日本円による決済額と仮定できる。以上の議論から、以下のようになる

日本円1日当たり決済額

≒ 日本の1日当たり総産出額

= ¥2,731,306,010,928.96

≒ 約 27,300億円

(日本の総産出額:2016年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA) - 内閣府 より 平成28年の総産出額を利用)

1.4 ビットコインと日本円の通貨価値比

 1.2 1.3 の結果から、ビットコインと日本円の通貨価値比を推定する。通貨価値の構成要因として交換可能価値と貯蔵可能価値がある(第1回前半 で述べている)。貯蔵可能価値については収集したデータから推定できなかった。そのため、本記事では通貨価値≒交換可能価値として推定を行う。

 また、交換可能価値の大きさは決済額に比例する。なぜなら、交換可能価値とはモノ・サービスと交換出来ることによる価値であり、決済額とはどのくらいモノ・サービスと交換出来ているかを表すためである。

 以上の議論より、ビットコインと日本円の通貨価値比(B-Y通貨価値比とよぶ)は、

B-Y通貨価値比

ビットコインの交換可能価値 ÷ 日本円の交換可能価値

ビットコインによる決済額 ÷ 日本円による決済額

=¥687,182,367.37 ÷ ¥2,731,306,010,928.96

=0.000251595

≒約1/4000

となる。これはビットコインの通貨価値が日本円の約1/4000であることを表す。しかしこれだけでは現在のビットコインの通貨価格(約28,692億円)が妥当かわからない。通貨価値を日本円表示にしなければ比較が出来ないためだ。

 次の2章は、ビットコインの通貨価値が日本円表示でいくらなのか?を推定していく。

2. ビットコインの通貨価値(日本円表示)

 ここではビットコインの通貨価値の日本円表示を推定する。方法としては、

2.1 で日本円の通貨価値は日本円表示でいくらなのか推定する。

2.2 でビットコインの通貨価値の日本円表示を推定する。

2.1 日本円の通貨価値(日本円表示)

 日本円は非常に安定した通貨である。ゆえに、投機による通貨価格の変動を無視できるとする(通貨価格= 通貨価値 + 投機 第1回 後半 より)。すると通貨価格=通貨価値となる。

 では、日本円の通貨価格とは何か?これは流通する日本円の総額とする。マネーストックと呼ばれる。

「マネーストック」とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan

 以上の議論から、日本円の通貨価値は以下のようになる。

日本円の通貨価値(日本円表示)

≒日本円の通貨価格

マネーストック(日本円の流通額)

=7,261,236 億円

日本銀行 時系列統計データ検索サイト より 2017年12月のマネーストック M1を利用)

 

2.2 ビットコインの通貨価値(日本円表示)

 1章及び2.1 節の議論から、ビットコインの通貨価値を推定する。以下のようになる。

ビットコインの通貨価値(日本円表示)

=B-Y通貨価値比 × 日本円の通貨価値

=0.000251595 × ¥726,123,600,000,000

=¥182,688,916,019

≒約 1,820億円 = 1BTC当たり約1.2万

となる。

3. まとめ

 本記事では、ビットコインの通貨価値(適正時価総額)の推定を行った。1章では、決済額=通貨価値として日本円とビットコインの通貨価値比の推定を行った。2章ではそれを用いてビットコインの通貨価値(日本円表示)を推定した。

 結果としては、

ビットコインの通貨価値(本当の価値)=1BTC当たり約1.2万

ビットコインの通貨価格(12月の価格)=1BTC当たり約190万

となる。